5月31日(土)第2回日本食育学会総会・学術大会が開催されました。食育実践発表ということで「食育の時間」を活用した「早ね早起き朝ごはん」に関する授業成果報告が、藤川大祐先生(千葉大学教育学部准教授)、古谷成司先生(富里市教育委員会)より行われました。@ 
また、「食育の時間」を活用した今までの活動や取り組み発表が、ポスターセッション会場で同時に行われました。A 各発表内容の抄録を掲載いたします。

(1 早寝早起き朝ごはんに関するデジタルコンテンツ及び授業開発について

藤川大祐、古谷成司
千葉大学教育学部、富里市教育委員会

昨今の子どもたちの生活習慣が悪化し、それがやがて学力や体力に影響を及ぼしていることが各種調査で言われていることから、文部科学省が全国的に「早寝早起き朝ごはん運動」 を推進してきている。また食育基本法が制定されたことから学校においても食育が注目されるようになってきた。
そのため、学校では「早寝早起きをしよう。」「朝ごはんを食べよう。」といった呼びかけが学校便り、保健便り、給食便り等においてなされるようになってきた。
また、食育に対する取組が進んだ学校では朝ごはんに関する授業も行っている。
ところが、こうした授業の内容の多くは「朝ごはんを食べない弊害」「望ましい朝ごはんのメニュー」といった朝ごはんを取り巻く現象面のみに焦点を当てていて、「なぜ朝ごはんを食べないと 弊害が起きるのか?」といった現象が起こる理由についての理解を求める授業にお目にかかる機会はあまりない。子どもたちは理由を理解しているか否かではその取組に対する姿勢に 差が生じてくる。
そこで、藤川が理事長、古谷が理事を務めているNPO法人企業教育研究会において、日本マクドナルド(株)と(株)NHKエデュケーショナルと協力し、朝ごはん不摂取の弊害につ いて科学的な根拠に基づいて理解を促す授業プログラムを平成19年1月より開発を始めた。
授業プログラムを作成するにあたっては、朝ごはん不摂取による科学的な根拠をわかりやすく理解できるよう「血糖値」などの専門的な用語や身体の内部のはたらきについて、身近な現象 への置き換えを心がけた。また、授業で使用するコンテンツの中に子どもたちが親しみやすいキャラクターを登場させ、クイズ形式で楽しみながら内容を理解できるように工夫した。さら に、「早ね早起き朝ごはんきろくシート」のコーナーを設け、毎日の生活習慣について自らチェックできるようにした。
千葉県及び福岡県、宮城県の3つの小学校(高学年)において本授業プログラムを実施し、その成果を検証した。
どの小学校においても子どもたちの感想の多くに「なぜ朝ごはんを食べるようにしつこく言われるのか、その理由がわかった。」とあり、現象面の裏側にある科学的根拠を示していく ことが朝ごはんの重要性についての十分な理解へとつながることが実証されてきている。
今後は、こうした理解を実践へとつながる ようにするための方策を講じていく必要があ ると考える。

(2 「食育の時間」デジタルコンテンツ及び授業開発について

藤川大祐、古谷成司、○柳原沙織
千葉大学教育学部、富里市教育委員会、NPO法人企業教育研究会

日本マクドナルド株式会社とNPO法人企業教育研究会では、子どもたちにバランスのとれた食事をとる重要性や、食事を楽しむことの大切さを知ってもらうことを目的に、株式会社NHK エデュケーショナルの協力のもと、2005年にインターネットコンテンツ「食育の時間」を開設した。このコンテンツでは子どもたちにとって身近で大切な6つのテーマを選び、食生活 に欠かせないポイントを分かりやすく6時間の時間割にした。
2005年は食育基本法の制定が間近に控えていたこともあり、食をあつかう企業はこれまで以上に教育現場への貢献を求められるようになっていくという背景もあった。
2005年には「栄養バランスと栄養素」「食品群とそのはたらき」「基礎代謝」「衛生管理と食の安全」「正しい食生活」をテーマに全国5つの学校にご協力いただき、特色ある授業を開発、 実施した。更に、2007年には「早ね早起き朝ごはん」をテーマに全国2校で授業を実施した。どの授業も授業づくりの経験豊富な先生方とともに開発を進め、学校現場の現状に即した形で 実施することが出来た。その結果、子どもたちは「好き嫌いはいけない」「手をしっかり洗いましょう」というようなごく当たり前のことをなぜ教えられるのかということの科学的根拠などを インターネットコンテンツを利用して楽しく学習することでその意味を理解し、「給食を残すことが減った」「食事前の手洗いが丁寧になった」等、目に見えた変化が生じている。
今後は、学校現場の先生がこのインターネットコンテンツを利用して食育の学習を進めていくことで、より一層の教材の充実を図ること。そしてマクドナルドだけでなく多くの企業が食 育に貢献し、子どもたちが食についての深い理解をもって健やかに成長できる環境が整っていくことが求められる。